
深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)
沢木耕太郎
新潮社 / 2020-07
この本について
なんとなく毎日が予定で埋まっていて、自由になりたいのに、いざ何もない時間ができると落ち着かなくなることがあります。自分の判断に自信が持てず、人を疑ってしまう自分にがっかりすることもあるし、「意味のある行動」を求めすぎて息が詰まることもあると思います。僕も同じで、その感覚をうまく言語化できないまま過ごしていました。 『深夜特急1 香港・マカオ』を読むと、そのモヤモヤに少し風が通る気がします。なにより印象的なのは、自由の捉え方が少しずつ変わっていくところです。予定がない日の頼りなさと、その裏にある解放感。言葉を一つ覚えるだけで世界が軽くなる感覚。「意味のないことをやりたい」という正直すぎる衝動。こういう小さな揺れが丁寧に書かれていて、自分の中にも同じ震えがあったのだと気づかされます。そして、人との出会いで自分の器が測られるような瞬間も、妙にリアルで刺さる。お金を持っている自分より、無一文の男のほうがよほど王者のようだったという場面には、価値観がひっくり返るような面白さがあります。 大げさに旅を煽る本ではなく、むしろ「心が騒ぐ方向にちょっと動いてみてもいい」と静かに背中を押してくれるような一冊です。日常の重力から少し離れてみたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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