
空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)
池井戸潤
講談社
この本について
仕事で理不尽に巻き込まれたとき、「結局、声の大きい人だけが勝つのか」とか、「自分だけ空回りしている気がする」とか、そんなモヤモヤが積み重なることってありますよね。怒るほどでもないけれど、飲み込んでばかりいると、どこかで自分の軸がぐらついてくるような感覚が出てきます。 『空飛ぶタイヤ(下)』を読んで印象的なのは、読者が保存しているのが、派手な名言でもなく、どちらかといえば“日常の一瞬”の揺れを切り取った言葉だということです。「気楽で何が悪い」と肩の力を抜く視点もあれば、誰かのひと言に反応してガタッと感情が動く場面もある。正義とか責任とか、大きなテーマが語られる一方で、人の弱さや迷いがそのまま描かれているんですよね。そこが、この物語がただの企業小説で終わらない理由だと思います。 読んでいると、正しさを貫くことよりも、「自分が何に揺さぶられ、どこで踏ん張るのか」を見直すきっかけが自然と生まれます。強くあろうと張り詰めるのではなく、葛藤を抱えたままでも前に進める形があるんだと、少し落ち着いて呼吸できるような感覚です。理屈で励ます本ではないのに、気づけば働くときの視点が変わっている。そんな力があります。 組織の中で“正気を保つのにちょっと疲れている人”には、かなり沁みる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
読書の順序
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