
新装版 不祥事 (講談社文庫)
池井戸潤
講談社 / 2011-11-15
この本について
仕事をしていると、「自分ではどうしようもない判断」に巻き込まれる瞬間ってありますよね。数字の裏側を察しつつも口にできなかったり、筋の通らない指示に従うしかなかったり。後で振り返って、あれは正しかったのか…とモヤモヤが残るあの感じです。 『不祥事』を読んでいて、保存されていた抜粋に反応した理由がなんとなく分かりました。粉飾や不文律、信義則といった固い言葉の背景には、「現場の人間が本当はわかっているのに、動けないまま事態が進んでいく」という息苦しさがずっと流れています。意に沿わない部署で積み重なっていく屈辱や、正しい手順を踏まなかったせいで信頼が壊れていく場面に触れると、自分の働き方のどこかにも似た影があることに気づかされます。 この本が効くのは、派手な逆転劇ではなく、そうした「小さなほころび」がどう積み重なり、人を追い詰めていくのかが丁寧に描かれているところです。職場で起きる判断の重さを他人ごとにせずに見つめ直せるし、組織の論理に流されそうになったときにどこで踏みとどまるべきか、現実的な距離感で考えさせられます。読み終えたあと、自分だったらどこで声を上げられただろう…と静かに考える時間が残ります。 特に、組織の中で「正しさ」と「仕事」のあいだで揺れ続けている人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの79%が集中しています。
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