
トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業
梶山三郎
講談社 / 2016-10-18
この本について
仕事をしていると、「この会社、どこを向いて走ってるんだろう」とふと立ち止まる瞬間がありますよね。現場の肌感と、上から降ってくる方針のズレに振り回されたり、変わるべきなのに誰も変わろうとしない空気に疲れたり。自分の判断が鈍っているのか、組織が歪んでいるのか、よく分からなくなるあの感じです。 『トヨトミの野望』を読んで刺さるのは、まさにその「ズレ」が物語のあちこちに生々しく描かれているところだと思います。巨大企業の論理と、そこで働く人間の本音。その摩擦が、抜粋にもあるような苛立ち混じりの会話からじわじわ立ち上がってくる。例えば、好き嫌いで人事が回る空気に対する諦めとか、現場を知らないまま目標だけが積み上がる構造への違和感とか。読んでいると「自分のモヤモヤは気のせいじゃなかったんだな」と思えてくるんです。 もう一つ効いてくるのは、変化を拒んだ瞬間に企業も人も終わる、という容赦ない視点です。これは説教というより、物語の中で実際に崩れていく兆候が淡々と描かれるからこそ重い。自分の働き方に当てはめると、どこを放置すると歪みが積み上がるのかが、少しだけ現実的に見えてきます。 組織の理不尽に疲れつつ、「それでも自分の働き方は見失いたくない」と思っている人に刺さる本です。物語として読めるのに、仕事の見え方がじわっと変わる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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