
トヨトミの世襲~小説・巨大自動車企業~
梶山三郎
小学館 / 2023-11-30
この本について
仕事の判断が妙にぶれる日ってありませんか。正しいと思って進めていたのに、現場の声を聞くと急に自信が揺らいだり、逆に数字だけを追い始めて大事な違和感をごまかしたり。自分の視点がどこに置かれているのか、ふと見失う瞬間があると思います。 『トヨトミの世襲』を読んでいて感じたのは、この揺らぎの正体が「大局と現場の距離」みたいなものだということです。たとえばEVが本当に安くなる未来を語る場面では、技術やコストの話以上に、どの立場から世界を見るかで結論が変わる。逆に、ディーラーの不正やフューチャーシティの迷走には、判断する側が現場の温度や混乱を取りこぼした結果がにじんでいて、自分の仕事にも思い当たるところがありました。トップの言葉に揺さぶられる人、逆に粘り強く計画を守る人、そうした温度差の描写が妙に生々しいんです。 そしてもう一つは、誰しも「凡庸さ」とどう向き合うかを避けて通れないという点。自分に取り柄がないと気づいたときのあの怖さや、変われていないのに変わったつもりになる感覚が、登場人物を通して静かに突きつけられます。経営を題材にしながら、組織の中で迷う自分の姿がそのまま重なる小説でした。 視点を入れ替えたい人、今の判断軸に自信が持てない人には刺さると思います。
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多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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