
最終退行 (小学館文庫)
池井戸潤
小学館 / 2007-05-15
この本について
仕事をしていると、ときどき自分でも説明できないモヤモヤにぶつかります。組織の中で言われる「期待」や「やりがい」が本当に自分のものなのか分からなくなる瞬間があって、でも日常は止まらないから、そのまま流されていくしかないような感覚です。あの抜粋を保存した方は、きっとその違和感に名前をつけたくて手を伸ばしたんじゃないかと思いました。 『最終退行』は、銀行という巨大な組織の中で働く人たちの温度差や、制度に振り回される現実をかなり生々しく描いています。出世を餌に意欲を引き出しながら、実際には誰も責任を取らない構造。組織の論理を振りかざす人間ほど、自分だけは例外でいたがる矛盾。そういうものを物語として追いかけることで、「なんとなく感じていた不自然さ」が具体的な形として浮かび上がってきます。職場の理不尽を正面から論破してくれるわけではないですが、自分の中の整理が一段階進む感覚がありました。 もうひとつ効いてくるのは、人が追い詰められたときの行動が静かに描かれているところです。制度や肩書きではなく、生身の人間がどう判断し、どう踏ん張るのか。そのギャップを物語として見ることで、自分の立ち位置をちょっと客観的に見られるようになるはずです。 組織の中で「このままでいいのか」と何度も立ち止まってしまう人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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