
水曜の朝、午前三時
蓮見 圭一
新潮社 / 2005-12-01
この本について
最近、人との距離感とか、自分の選択の正しさとか、ふと立ち止まるたびによぎる不安ってありますよね。状況が変わるたびに「これで良かったのかな」と揺れるし、先のことを考えると足が止まる。でも止まったところで気持ちは落ち着かない、みたいなあの感じです。 『水曜の朝、午前三時』は、その揺れそのものを肯定してくれるような小説でした。病気や老い、人間関係の“どうにもならなさ”を抱えた人物たちが出てくるのですが、彼らの言葉がやたら落ち着いていて、人生の変化を受け止めながら前に進む姿が、不思議と自分の足元にも効いてくるんです。「十年たてば景色は変わる」「昨日の哀しみが明日の喜びに変わるかもしれない」という視点は、先の見えなさに怯えて固まっているときほど染みました。 特に、幸・不幸は家にいても起きないという一文や、自分の内心の声をちゃんと聞けというメッセージは、行動する・しないの二択を迫られる日常にそっと風穴を開けてくれます。誰かに背中を押されたいわけじゃないけれど、もう少しだけ前に出てもいいのかもしれない、そんな気持ちにしてくれました。 一言でいえば、「迷っている時間に寄り添ってほしい人」に合う本です。人生に派手な答えは出してくれませんが、静かに視点をずらしてくれる。その少しの変化が、今の自分にはちょうど良かったです。
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