
不毛地帯 第一巻(新潮文庫)
山崎 豊子
新潮社 / 2009-03-15
この本について
仕事でも人生でも、「ここで折れたら全部終わる気がするけど、踏ん張る根拠が自分のどこにあるのか分からない」という瞬間があると思います。冷静になりたいのに感情が先に動き、判断がぶれる。とはいえ、強がるだけでは続かない。そのあたりの揺らぎに触れてくるのが『不毛地帯』でした。 抜粋にもあるように、壹岐の思考は常に現実の厳しさと向き合っています。「どこで踏みとどまるか」を淡々と見つめる姿勢とか、情報をどう整理し、どう判断に落とし込むかという冷静さは、仕事で詰まったときの視界を少し広げてくれます。そして、戦場や抑留の描写をただの悲劇としてではなく、人がどんな状況でも「次にどう動くか」を考え続ける姿として描いているところが、こちらの姿勢まで正されるようでした。 さらに、商社での苦闘に入ってからの「企業には潔い玉砕は許されない」という一文は、この時代に生きている自分にも妙に現実味があるんですよね。戦争とビジネスは違うはずなのに、判断の重さや責任の持ち方には通じるものがある。理想論ではなく、泥からでも一歩進むための視点がここにはあります。 過去の重さや苦さを抱えたまま、それでも前に進む理由を探している人に刺さる一冊です。
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