
不毛地帯 第四巻(新潮文庫)
山崎 豊子
新潮社 / 2009-03-15
この本について
仕事で大きな判断を迫られた時、自分の考えが本当に正しいのか、どこまでが理想でどこからが現実なのか、ふと分からなくなることがあります。特に相手が大きな組織や国家レベルの利害を背負っていると、こちらの正しさなんてあまりに小さく見えてしまう。最近、自分もそんな場面が続いていて、心が少しだけすり減っていました。 『不毛地帯 第四巻』を読んでいて刺さったのは、壹岐が常に「国家」と「個人」の間で揺れ続ける姿でした。たとえば石油開発という巨大なテーマの前で、理屈だけでは割り切れない葛藤がいくつも出てくる。コンピューターでは答えが出ない状況で、どこまでリスクを背負うのか。あるいは家族や同僚との軋轢に、自分自身がどう折り合いをつけていくのか。読みながら「結局、誰だって完全じゃないよな」と少し肩の力が抜けました。 そしてもう一つ、壹岐が自分の信念に固執しすぎて周囲とうまく噛み合わなくなる場面も多く、そこが妙に現実的なんです。正しいと思う方向へ進んでいても、組織の論理や相手の思惑に足を取られる。その中でどう折れ、どこで踏ん張るかというバランス感覚は、読み物というより現場のドキュメントに近い実感があります。 国家規模の話なのに、なぜか自分の生活や仕事の悩みにそのまま重なる。だからこそ、正解の見えない状況で踏ん張っている人に静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
読書の順序
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