
二つの祖国(二)(新潮文庫)
山崎 豊子
新潮社 / 2009-09-10
この本について
最近、物事を「どちらが正しいか」で割り切れなくて立ち止まる瞬間が増えました。立場が変われば見える景色が変わるのは分かっていても、正義や責任を言い切る言葉に触れると、自分の判断が急に心もとなくなることがあります。 『二つの祖国(二)』を読んでいて強く感じたのは、勝者と敗者のどちらにも寄りきれない揺れの中に、人間のリアルがあるということでした。原爆の描写や収容所の家族への手紙のような、生々しい場面が続くのに、そこにいる人たちは誰も“物語上の記号”ではなく、ただ必死に自分の立場を生きているだけなんですよね。正義が一つに定まらない感覚そのものが、この本を読むことで少し落ち着くというか、「答えが揺れるのは当たり前だ」と思えるようになりました。 もう一つ、この作品が効いたのは、自分が普段どれだけ歴史を“結果”だけで見ていたかに気づかされたところです。勝った側が作った法廷、負けた側の沈黙、家族を守りたかっただけの人たち……。ページをめくるたびに、立場が変われば正義も変わるという当たり前のことを、頭ではなく体で理解させられます。 正しさに疲れた時や、自分の判断に迷いが生まれた時にそっと効いてくるタイプの物語です。特に「簡単に割り切らない自分のままでいたい人」に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
読書の順序
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