
科学者とあたま
寺田 寅彦
平凡社 / 2015-12-11
この本について
研究でも仕事でも、頭で考えすぎて一歩目が出なくなる時ってありますよね。やる前から「どうせ大した成果にならないかも」「もっと賢い人がやるべきでは」みたいな声が自分の中から聞こえてきて、結局なにも進まないまま日が暮れる。僕も定期的にこの沼に落ちます。 そんな時に寺田寅彦の『科学者とあたま』を読むと、肩の力が抜けます。彼は「頭がよいこと」と「頭がよいと思い込むこと」を丁寧に切り分けながら、自然の前では人間なんて結局みんな裸で、不器用に迷いながら進むしかないんだと教えてくれます。とくに、科学の歴史が錯覚と失策の積み重ねだという視点は、完璧に準備してから動こうとする自分の癖をほどいてくれました。失敗を避けることで結果的に何もしない、という“頭の良さの罠”にも心当たりがある人は多いはずです。 この本が効くのは、賢くあろうとするあまり慎重になりすぎてしまう時です。自分の未熟さを受け入れたうえで「まずやってみる」側に立ち戻れるし、観察や分析の丁寧さも同時に要求されるので、ただの精神論で終わらないのもいいところです。少し迂愚で、田舎者のような粘りがむしろ道を開く、という感覚は読後もしばらく残ります。 とくに、頭の回転は速いのに行動が止まりがちな人には深く刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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