
考えるヒント
小林 秀雄
文藝春秋 / 2010-04
この本について
考えごとが増える時期って、どうしても「効率よく答えに近づける方法」を探しがちですが、実際には考えているようで浅いところをぐるぐる回っているだけ、という感覚がありませんか。専門知識や世間の言い方に気圧されて、自分の判断がどこにあるのか分からなくなる時もあると思います。 『考えるヒント』を読むと、そのモヤモヤに少し輪郭が出ます。たとえば、能率的に考えることと、合理的に考えることはまったく別だという指摘。物を掴んだら離さず、自分の頭で「観察しきる」ことが考えるという行為の核なのだ、と淡々と言われると、思い当たる場面がいくつも出てきます。また、言葉の力を外向きの説明ではなく、内側に向かう視覚として扱う姿勢が、判断の基準を自分の中に戻してくれる感じがあります。 もうひとつ印象的なのは、人間の心を単純化して理解した気になる風潮への距離感です。政治や社会の話になると急に“計算機みたいな思考”になる、といった観察は、他人というよりまず自分へのブレーキになります。考えるとは、すぐ役立つ整理術ではなく、むしろ雑味を抱えたまま向き合う営みなのだと気づかされます。 自分の思考がどこから借り物になっているのか気になる人に、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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