
合本 考えるヒント(1)~(4)【文春e-Books】
小林秀雄
文藝春秋
この本について
仕事のことを考えていると、どうしても「正しさ」や「効率」に寄りかかってしまって、気づけば自分の感じ方がどこか置き去りになる時があります。頭では分かっているのに、目の前の判断に自分の実感が追いつかない、みたいな感覚です。僕もよくそこでもたつきます。 『考えるヒント』を読んでいると、小林秀雄が何度も「見ることと考えることは本来ひとつだ」と語るんですね。合理的に片づけようとすると見落とすものが、じっと対象を掴み続ける中でようやく見えてくる。水墨画や禅の話が多いのに、読んでいると自分の仕事の姿勢の話をされている気がしてくるのは、そのためだと思います。職業の中に自分の流儀を見いだす、という一節も、日々の迷いをそのまま肯定してくれるようでした。 そしてもうひとつ刺さったのは、考える手間を省くと途端に判断が他人の形になる、という指摘です。社会や正義を語る場面で急に「計算機のようになる」という言い方があって、図星をさされたような気分になりました。自分が本当に感じているところに戻るには、結局ゆっくり考えるしかないんだなと。 派手な答えは何も示さない本ですが、自分の思考の癖を静かに照らしてくれる一冊です。表面的な効率より、自分の手触りで世界を確かめたい人にはしっくりくると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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