
本居宣長(上)(新潮文庫)
小林秀雄
この本について
仕事でも生活でも、目の前の「欲」に引っぱられてばかりで、自分の中にあるはずの感情や視点がどこか薄くなっている気がすることがあります。分かってはいるのに、忙しさに飲まれて、何を感じているのか自分でもよく分からないまま時間だけが流れていく感じです。 小林秀雄が本居宣長を読み解くこの本は、そのモヤモヤに少し風を通してくれます。抜粋にある「欲」と「情」の違いがまず大きいです。欲は自分を消費させるけれど、情は自分を顧みて感慨を育てる。ここを丁寧に区別されると、自分が最近“消費の側”に偏っていたことに気づきます。そして、「あはれ」を知るとは何か、という宣長の問いに沿って読んでいくと、知ることと感じることを切り離さずに味わう態度が、現代の私たちにもまだ取り戻せるんだと思えてきます。 さらに、学ぶとは結局「まねぶ」であり、形だけを真似しても中身まで届かない、という宣長の姿勢が印象に残ります。意は簡単に口真似できてしまうからこそ、姿と行動に落とす難しさが出てくる。この感覚は、仕事で知識だけ増えて実践が追いつかないときの空回りにそのまま重なります。 自分の感情の輪郭を取り戻したい人、あるいは知識を積んでもどこか空虚さが残る人に静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
読書の順序
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