
唯識の思想 (講談社学術文庫)
横山紘一
講談社 / 2016-03-10
この本について
人の目が気になったり、やるべきことがあっても心がざわついて腰が上がらなかったり。頭では分かっているのに、感情や不安に引っ張られてしまう瞬間ってあります。僕自身、外の出来事に振り回されているつもりで、実は自分の中の「相を帯びた部分」に過剰に反応していただけなんじゃないかと、この本を読んで気づかされました。 『唯識の思想』は、いま見えている世界の輪郭が、どれだけ心のクセで曇っているかを丁寧に示してくれます。たとえば、相手を勝手に「こういう人だ」と決めつけてしまう仕組みとか、末那識という自我への執着が行動を妨げる理由とか、普段あいまいに感じていたモヤモヤが少し輪郭を持ちはじめる感覚がありました。そして「成り切って観察する」という姿勢を通して、呼吸のような単純な対象でも、曇りを外していくと見え方が変わっていくことが腑に落ちていきます。 この本は、劇的に人生を変えるというより、心の仕組みを一段深いところから説明してくれる存在です。自分の反応パターンに疲れている人や、なぜ同じ迷いを繰り返すのか知りたい人には静かに刺さると思います。僕もまだ全部を理解できているわけじゃないですが、迷いを少し手放すときの「心が静まるとはこういうことか」という手触りを教えてくれる一冊でした。
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