
「いき」の構造
九鬼 周造
講談社 / 2011-12
この本について
仕事でも生活でも、言葉にしづらい「しぐさ」や「雰囲気」に自分が左右されている気がするのに、うまく説明できないことがありませんか。誰かの所作に惹かれる理由も、自分がなぜある態度に違和感を覚えるのかも、結局は感覚で片づけてしまいがちです。僕もずっとそこにモヤモヤがありました。 九鬼周造の『「いき」の構造』は、その感覚の裏にある「関係の緊張」みたいなものを丁寧に言語化してくれます。媚態・意気地・諦めという三つの成分がどう重なって、あの独特の佇まいをつくるのか。上品や派手と何が違うのか。読みながら、自分がこれまで「なんとなく」で判断していた場面が少し整理されていきました。人との距離感に迷うとき、どこまで踏み込み、どこで引くのかの線引きが少し見えるようになる感じです。 特に刺さったのは、「いき」は完成された必勝パターンではなく、常に可能性のまま残されている関係だという点でした。仕事での立ち振る舞いも、コミュニケーションも、結局はこの“緊張の残し方”次第なんだと腑に落ちます。甘さと渋さの中間に位置づけられるという説明も、自分の中の曖昧な好みが言葉を得たようで、読後の感触が妙に静かです。 表現や態度の微妙な差にずっと引っかかっていた人、あるいは「上品」と「いき」の違いが気になったまま放置してきた人には、とても向いている本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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