門

門

夏目 漱石

文藝春秋 / 20110708

累計読者数10
平均ハイライト数 14.2件/人
推定読了時間 約2時間56分
star総合評価 53/100
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この本について

仕事が終わって家に帰るだけで一日がすり減っていく感じとか、休みの日にやりたいことがあるのに、気づけば何もできずに夕方になっているとか。そういう「生きるための動き」と「自分の気持ち」のズレに、うまく折り合いがつかないまま年だけ重なっていく感覚ってありますよね。僕もずっとそこでもがいています。 漱石の『門』を読むと、そのズレを無理に埋めようとせず、ただ静かに抱え込んで暮らしている宗助と御米の姿がじわっと沁みてきます。二人は社会から距離を取りつつ、限られた時間と気力の中で何とか日々をまわしている。例えば、日曜の少しもの寂しさとか、帰ってきて灯りの下で向き合うしかない夜の空気とか、自分の生活にも同じ瞬間があると気づくんです。派手な成長物語じゃなくて、そういう「続けるしかない日常」の重さをそのまま描いてくれるからこそ、読んでいる側の固まった気持ちが少し動くようなところがあります。 この本が効いてくるのは、無理に前向きな答えを求めていない人です。逃げるでも立ち向かうでもなく、ただ自分の生活の輪郭を確かめたい時に、宗助たちの静かな呼吸が寄り添ってくれる。社会の中でうまく立ち回れなくても、生き方そのものが否定されるわけではない、そんな感覚をそっと手渡してくれます。 「なんとなく今の暮らしが自分の手に余っている気がする人」に、たぶんいちばん刺さります。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

近代人のエゴイズムと社会との相克を描いた、漱石前期の代表作2篇。目にやさしい大きな活字、現代人の感覚に即した詳細な注釈付
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