
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分の考えが正しい」と思い込みすぎて、気づけば視界がどんどん狭くなっていくことがあります。議論しても相手の言葉が入ってこないし、あとから「あれ、もしかして自分が勝手に硬くなってただけか…」と気づくあの感じです。わかっていても、なかなか抜け出せないんですよね。 『悟浄出世』を読んでいて刺さったのは、まさにその“こだわりすぎる視野の狭さ”を、登場人物たちが容赦なく突きつけてくるところでした。自分の性向に固執し、他人の言葉を受け取らないまま苦しみ続けてしまう姿は、少し大げさだけれど現実にもそのままありそうで、思わずどきっとします。そして、険しい道を選んだのに最後に救われないかもしれない、その「取り返しのつかなさ」への不安は、自分の判断に悩むときの心細さそのものなんですよね。 この作品が効くのは、考え方を変えろと上から言われるからではなく、「執着に飲み込まれると人はこうなる」という具体的な描写を見せられることで、自分の思考のクセをちょっと遠くから眺められるところだと思います。自分の信念を持つことと、それに縛られて身動きが取れなくなることの境目が、ふっと見えてくる感じがします。 自分のこだわりとどう付き合うか迷っている人には、静かに刺さる一冊です。
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