
愚者のエンドロール 「古典部」シリーズ (角川文庫)
米澤 穂信、高野 音彦、清水 厚
この本について
仕事でも日常でも、自分の役割をなんとなく押しつけられているような感覚ってありませんか。周りが勝手に期待してくるポジションに乗ると、どこかで「これ、本当に自分がやりたい形なのかな」と引っかかる。やらない理由もあるのに、説明しきれずに流されてしまうあの感じです。 『愚者のエンドロール』の抜粋を読むと、奉太郎がまさにその違和感に正面から向き合わされています。探偵役を求められても受け入れないのは、怠けたいからではなく、もっと根の深い「自分はどうありたいか」を守るため。自覚せずに他人の筋書きに乗ると、結局あとで自分が苦しくなるという距離感が、いやに現実的です。作品をすぐに消化させようとする空気に反発してしまう感覚も、義務で動くことへの抵抗そのものに近くて、妙に刺さります。 この作品は、行動を変えるような派手さはないけれど、「自分の役割を誰に渡すか」を落ち着いて選び直すきっかけにはなります。自分のペースで考えたい人間が、どう周囲と折り合いをつけるか。その微妙な温度を、青春ミステリという枠の中で丁寧に拾ってくれます。 自分の立ち位置を勝手に決められると疲れてしまう人に、静かに効く一冊だと思います。
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