遠まわりする雛 「古典部」シリーズ (角川文庫)

遠まわりする雛 「古典部」シリーズ (角川文庫)

米澤 穂信

累計読者数7
平均ハイライト数 1.9件/人
star総合評価 31/100
boltライト読書型

この本について

仕事でも人間関係でも、本音を言いたいのに言えなくて、結果まったく別の言葉を口にしてしまう瞬間ってありますよね。あとになって「なんであんなこと言ったんだろう」と自分でもよく分からないまま、気持ちだけ置き去りになるあの感じ。読者の方が保存していた場面は、まさにその“言えなさ”が物語の鍵になっているところで、そこに強く共鳴したのが伝わってきました。 『遠まわりする雛』が面白いのは、事件の謎よりも、登場人物たちの“言えない気持ち”や“形にしきれない価値”がじんわり立ち上がってくるところです。たとえば、言おうと決めていたことが喉の手前でどうしても変質してしまうあの戸惑いを、作品はとても静かに拾い上げます。無愛想な一言にすり替わった本音や、誰かを気遣った結果の遠回り。その不器用さが、逆に人の行動の深さを浮かび上がらせるんです。また、作中で触れられるミステリの系譜も、“答えそのものより、そこに至る思考の流れ”を楽しむ姿勢を教えてくれるように感じます。 自分の感情をうまく扱えず、つい回り道ばかりしてしまう人に、そっと効いてくる一冊です。

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