
かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)
万城目 学
KADOKAWA / 2013
この本について
仕事でも生活でも、人との距離の取り方に迷うことが多いなと思います。仲良くなりすぎても不安になるし、踏み込みすぎても後で後悔する。大人になるほど、人間関係って「正解がないまま続けるしかないもの」だと感じます。 そんなときに『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』を読むと、子どもたちのやり取りの中に、自分が忘れていた感情がそのまま置いてあってはっとします。今回の抜粋に刺さっている人は、ただ仲が良かっただけの関係に、別れや変化が訪れたときのあのどうしようもない痛みを思い出しているんじゃないでしょうか。泣きながらも約束を守ろうとする必死さとか、家に帰ったらちゃんと夕飯が用意されている救いとか、そういう細かいところに心が揺れるのだと思います。 この本が効くのは、まず「小さな別れにちゃんと名前がつくこと」。大人になると、関係が薄れたり途切れたりしても、いちいち感情を拾わなくなるけれど、ここでは一つ一つの出来事に丁寧に感情が宿っている。さらに、「日常の中で失われていく感受性を、無理なく取り戻せること」。特別な事件があるわけじゃないのに、気づいたら心の奥がじんわり動いている。最後に、「誰かを大切に思うって、こんなに不器用でいいんだ」と思えるところも、この作品ならではです。 昔の友だちとの距離がふと気になる人、あるいは最近うまく泣けていない人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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