
全思考
北野武
幻冬舎
この本について
ふと一人になったとき、「自分って何者なんだろう」と急に不安になることがありますよね。自由に選べるはずなのに、選べば選ぶほど落ち着かない。周りは軽やかに生きているように見えるのに、自分だけ熱を持って空回りしているような感覚。そういうモヤモヤを抱えていると、この本の言葉がやたら腰に刺さってきます。 北野武さんが語る「熱い方の人生を選ぶ」という姿勢は、前向きさというより、面倒臭さも痛みも含めて生きるしかないという開き直りに近い。自由が与えられた途端に不安になる人間の弱さや、輝いて見える人ほど内側ではヤケドしそうなほど熱を抱えていること。こういう視点が、自分だけが迷っているんじゃないんだと呼吸を整えてくれます。 また、本書に繰り返し出てくる「不自由の枠があるからこそ自由が際立つ」という感覚も、妙に現実的です。完璧な生き方や答えを求めるんじゃなくて、日々の摩擦や面倒を避けないことでしか、自分の実感は立ち上がらない。読んでいると、少しずつ身体の方から前に進む準備が整ってくるような感覚がありました。 自分のペースで迷いながら生きていくしかないよな、と静かに思える本です。刺さるのは「熱を持つ生き方に惹かれつつ、怖さも同じくらい抱えている人」だと思います。
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