
新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか (幻冬舎文庫)
北野武
この本について
誰かが決めた「いい子」像に、なんとなく違和感がある。でも、それをうまく言語化できないまま大人になってしまった──そんな感覚、けっこうあるんじゃないでしょうか。子どものころに習った道徳が、今の自分の価値観と微妙にズレている感じ。なのに社会に出ると「正しい態度」みたいなものをまた求められる。そのたびに、自分の中の基準が揺れることがあります。 北野武さんの『新しい道徳』は、その揺れの正体をかなりあっさり暴いてくれます。たとえば、「いいこと」が本能であり、時代によって変わるという視点。これは、固定された正解を探すより、自分の置かれた環境でどう振る舞うかを考える方が自然なんだと気づかせてくれます。また、昔ながらの価値観を子どもに押しつける空虚さについての指摘は、親や教師だけでなく、自分自身が“誰かの価値観の傘”の下にまだいるのかも、と振り返るきっかけになるはずです。そして、「道徳と良心は別物」という一言が、外側のルールと内側の声を分けて考えるヒントになる。 結局この本は、道徳を再定義するための指南書というより、「自分は何を大事にして生きたいのか」を考えるための土台として機能します。決めつけや説教がなく、むしろ大人の側の迷いをあぶり出すような内容なので、押しつけが苦手な人にはむしろ居心地がいいはずです。 昔の道徳にモヤッとし続けてきた人、自分の価値観を一度自分の手に取り戻したい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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