
教えることの復権 (ちくま新書)
大村はま、苅谷剛彦、苅谷夏子
筑摩書房 / 2003-03-10
この本について
授業づくりでも、後輩指導でも、誰かに何かを伝える場に立つとき、「どこまで介入すればいいのか」がいつもわからなくなります。任せすぎれば放置に見えるし、導きすぎれば相手の思考を奪ってしまう。自分の経験則だけではどうにも判断しきれない瞬間が多いんですよね。 『教えることの復権』は、そのあいだで揺れている人にとって、現場の景色が少しクリアになる本でした。たとえば、大村はまの「背中を押すけれど、やっているようには見えない」関わり方。これは抽象論ではなく、具体的な授業の組み立てや、ことばの選び方、子どもの反応を拾って軌道修正する感覚まで踏み込んで語られています。また、教師自身が自分の頭の働かせ方を言葉にできるかどうか、その姿勢が子どもにどう影響するのかが丁寧に描かれていて、読んでいて胸が痛くなる場面もありました。さらに、叱ることすら「敗北の結果だ」と受け止める大村の姿に触れると、指導の場での自分の立ち方を少し見直したくなります。 教室だけでなく、部下育成や後輩に説明するときに「これでよかったのか」と迷いがちな人に刺さる一冊です。自信をつけるためではなく、自分の営みに静かに輪郭を与えてくれる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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