
「粗にして野だが卑ではない」石田禮助の生涯 (文春文庫)
城山 三郎
文藝春秋 / 1992-06-10
この本について
仕事でも家庭でも、自分なりに一生懸命やっているつもりなのに「これでいいのかな」と不意に立ち止まる瞬間があります。丁寧に生きたい気持ちはあるけれど、気負うと空回りする。人との距離感も、決断のタイミングも、正直いまだに迷うことばかりです。 石田禮助の生き方を追ったこの本は、そういう迷いを“勢いで解決する”タイプの本ではありません。むしろ、人生の要所でどう考え、どう折り合いをつけてきたかが静かに描かれていて、「こういう視点もあるのか」と肩の力が抜ける感じがあります。たとえば、妻への率直すぎるほどの感謝や後悔の語りには、成功とか偉業とは別の、人としての温度がそのまま出ていて、自分の身近な人との向き合い方を考え直すきっかけになります。また、「見切りだな。いけないと思ったらチェンジ・マインド」という一言は、決断の遅れに悩むときの背中をちょっとだけ押してくれるし、「粗にして野だが卑ではない」という姿勢には、無理に取り繕わずに働くことの実践的なヒントがあります。 正々堂々と生きようなんて言われると身構えますが、ここに出てくる“正々堂々”は、かっこつけずに、自分のクセも弱さも含めて前に進むことに近い。そんな空気が心地よい一冊です。 特に、「まっすぐでいたいけれど、まっすぐだけでは潰れてしまう気もしている人」に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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