
日本語の宿命~なぜ日本人は社会科学を理解できないのか~ (光文社新書)
薬師院 仁志
この本について
社会の話題になると、言葉の意味が人によってズレていて、議論がかみ合わないまま終わることってありませんか。税金の話でも、権利の話でも、そもそも同じ前提に立てていない感じがして、自分だけ理解が浅いのか…と落ち込むことが僕にはよくあります。 この本は、その「ズレ」の正体を、日本語そのものの歴史や構造からていねいに説明してくれます。たとえば「社会」という訳語にコミュニティ的な響きが残ってしまったことで、society を個人が集まる匿名的な場として捉えにくくなっている話や、「権利」と「権力」が同じ字で書かれるせいで、そもそも権利を力の有無と結びつけてしまう感覚が抜けにくいこと。税金が「年貢」的にイメージされやすい理由まで、日本語の背景から説明されると、なんとなく抱えていた違和感に輪郭が出てきます。 読んでいて一番助かったのは、「自分の理解力の問題じゃなかった」と確認できたことです。西洋語を前提に発達した社会科学を日本語で理解しようとすると、どうしても見えなくなる部分がある。その事実を認めた上で、どこを補えばいいのかが見えてきます。原語のニュアンスを少し意識するだけで、ニュースの読み方や政策議論の捉え方が変わっていく感覚がありました。 社会の話をするときに「いつも噛み合わない」と感じている人に、静かに効く本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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