
猫のゆりかご
カート ヴォネガット and 伊藤 典夫
この本について
仕事でも日常でも、気づけば自分の選択がどこにつながっているのか分からなくなることがあります。誰と関わるのかも、なぜ今この場所にいるのかも、筋の通った理由があるようで実はよく分からない。そんなモヤモヤを抱えたときに、ヴォネガットの『猫のゆりかご』は、少し違う角度から灯りを当ててきます。 この本が面白いのは、原爆という重いテーマを扱いながらも、技術ではなく「人がどう振る舞ったのか」に視点を置いているところです。広島に原爆が落ちたその日、アメリカの重要人物が何をしていたかを書き残そうとした主人公の企ては、いつの間にか世界の終末へ向かう奇妙な人間関係の渦に巻きこまれていく。ボコノン教の〈カラース〉や〈カンカン〉という概念は、理屈ではなく「人生が思わぬ形で他人と絡みあう瞬間」を言語化してくれて、ああ、こういう絡まりの中で自分も生きているんだなと腑に落ちる感覚があります。 読み終えるころには、世界の大きな出来事でさえ、突き詰めれば人と人の小さな判断や関わりの積み重ねでしかない、という静かな実感が残ります。誰かの行動が予期せず自分の人生に食い込んでくる、その不可解さにうっすら疲れている人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの80%が集中しています。
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