
The Indifference Engine
伊藤 計劃
Markosia Enterprises Ltd / 2016-12-01
この本について
ときどき、自分の選択って本当に自分のものなんだろうか、というモヤモヤに襲われます。仕事でも人間関係でも、気づけば何かに流されているような気がして、でもそれを「仕方ない」と片づけてしまう自分もいる。そういうときに『The Indifference Engine』を読むと、少し視点がずれます。というか、自分だと思っていた足場がいったん外れる感覚があります。 この本が効くのは、まず「自分の意思」の扱い方を変えてくれるところです。リベットの実験が象徴的ですが、脳が先に準備して後から理由づけする、という世界を知ると、普段の選択に対する固さがほぐれます。次に、自分と他者の境界がいかに脆いかが描かれていて、「俺とお前が憎み合うから戦争が起きるんじゃない」という一文が、日常の小さな対立にもそのまま響く。さらに、群れとしての人間のふるまいが静かに描かれていて、個人で抱え込んでいた罪悪感や無力感が、構造の中で見え直される瞬間があるんです。 自分が何者なのかを一度解体してみたい人に刺さると思います。読んでいて楽になるタイプの本ではありませんが、読み終わったあと、世界の見え方が少しだけ素朴で、正直になります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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