
道徳感情論 (講談社学術文庫)
アダム・スミス and 高哲男
日経BP / 2014-04-18
この本について
人の感情に振り回される日ってありますよね。相手の怒りに必要以上に反応したり、逆に自分の不安をどう扱えばいいのか分からなかったり。頭では「気にしすぎだ」と思っても、実際のところはうまく距離が取れない。そんなときに読み返したのが『道徳感情論』でした。 この本が面白いのは、「共感って想像力がつくるものだ」という前提で、人の感情の釣り合いをどう判断しているのかを淡々と説明してくれるところです。例えば、他人の痛みの中でも身体的な外傷には強く共感しやすいのに、内面的な不安には想像が追いつかない。だからこそ、怒りや悲嘆をそのまま受け取るより、状況を見るほうが共感は深まる。この視点だけでも、他人の反応に必要以上に巻き込まれない感覚が少し戻ってきます。 もう一つ大きいのは、「自分の感情をそのままぶつけても、他者には強すぎて伝わらない」という指摘です。人は、相手が自分の感情に合わせて少しトーンを落としてくれるから、ようやく理解できる。これを知っているだけで、落ち込んでいるときに誰と会うか、どんな距離感で話すかが変わってきます。見知らぬ人のほうが気持ちが落ち着く、という逆説的な話も妙に納得感があります。 人間関係で「自分の感じ方はこれでいいのか」と揺れがちな人に静かに効いてくる本です。特効薬というより、数日かけてじわっと効くタイプの一冊でした。
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