
「わかる」とはどういうことか ――認識の脳科学 (ちくま新書)
山鳥重
この本について
人と話していて「説明されているはずなのに腑に落ちない」とか、仕事で新しい概念を理解しようとしても頭に霧がかかったまま、ということがよくあります。自分が鈍いのかと思いがちですが、この本を読むと、そもそも“わかる”という行為そのものがそんなに単純じゃないと気づかされます。 読んで刺さったのは、まず「事実」と「心像」のずれが当たり前だという話です。太陽が動いて見えるのは心像で、地球が自転しているのが事実。でも私たちは事実そのものを直接扱えず、心像を使って世界を読むしかない。わかったつもりになる理由も、わからないまま迷子になる理由も、ここにかなり説明がつくなと感じました。 もうひとつは、注意や好奇心が“理解の入口”としてかなり重要だという点です。気になる、引っかかる、という感情が注意を呼び込み、そのあと知覚が細部を区別していく。頭が働かない日の裏側には、この流れがうまく回っていないだけ、という視点はそのまま日常の行動を変えてくれます。単語の意味が曖昧なままだと永遠にわからない、という指摘も痛いほど現実的でした。 ひとことでいえば、「知識のインプットでつまずきやすい人」にしっくり来る本です。自分の“わかる”の土台がどう動いているのかを知りたいとき、静かに効いてくる一冊でした。
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