
シャイロックの子供たち
池井戸 潤
文藝春秋 / 2023-02-09
この本について
仕事を続けていると、成果ばかり意識してしまって、なんのために働いているのかよくわからなくなるときがあります。誰かの機嫌や評価に振り回されて、言いたいことを飲み込み、胸の奥にモヤモヤだけ残る感じ。読者の抜粋を見ていると、まさにその「やりきれなさ」に共鳴して、この本を手に取ったのかなと思いました。 『シャイロックの子供たち』は銀行を舞台にしていながら、出世や数字だけでは測れない人間の温度を丁寧に描いています。出世と無縁の人ほど魅力的に映る、という一節がありましたが、実際、現場で黙々と働く人のほうがよっぽど信頼できたりしますよね。また、評価を先に考えず、すべきことを淡々とやり通す人の姿勢が、読む側の肩の力を少し抜いてくれる。さらに、家庭の微妙な空気や、職場で声をつぶされる瞬間など、「ああ、こういうことあるよな」と思い当たる場面が多く、職場の理不尽をただ切り捨てるのではなく、そこで生きる人たちの感情ごと描いてくれるのが救いになります。 ドラマティックな成功とは無縁でも、自分の仕事に誠実でいたい人に刺さる物語です。自分の働き方に小さな違和感を抱えているとき、この本は「どう踏ん張るか」よりも「何を大事にするか」をそっと思い出させてくれます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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