バタイユ入門 (ちくま新書)

バタイユ入門 (ちくま新書)

酒井健

累計読者数11
平均ハイライト数 27.7件/人
star総合評価 74/100
start序盤集中型

この本について

ときどき、自分の理性だけで世界を説明しようとして逆に行き詰まることがあります。意味を求めれば求めるほど空回りしたり、どこかで「もっと別の見方があるはずなのに」と感じたり。バタイユを読む人の抜粋を見ると、その引っかかりは多分、理性の外側に触れてしまったときのざわつきに近いのかなと思いました。 『バタイユ入門』は、そのざわつきを整理するというより、むしろ「理性では拾いきれない部分」をどう扱うかの視点をくれます。例えば、笑いが真面目さを一瞬でひっくり返す感覚とか、個人主義が極まった社会がなぜか疲弊していく理由とか、そういう説明しきれない現象を、無意識や“低い物質”の働きとして描き直してくれる。さらに、共同体が成り立つ背景にある“死”や“聖なるもの”の作用を見せられると、普段当然だと思っている価値観が少し揺らいで、思考の幅が広がります。 理性の外側を知るのは怖さもあるけれど、そのぶん世界を違う深さで見られるようになる本です。自分の考え方を相対化したい人、あるいは西欧的な価値観にどこかで息苦しさを覚えている人には特に刺さると思います。

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