
罪と罰 2 (光文社古典新訳文庫)
ドストエフスキー and 亀山 郁夫
新潮社 / 2012-05-09
この本について
人と関わるとき、自分の中の傲慢さや劣等感が一瞬で入れ替わる感じってありませんか。強気でいたいのに、ふとした拍子に相手の言葉に従ってしまったり、逆に反発してしまったり。あれって説明がつかないのに、妙に心を揺さぶりますよね。僕も仕事の場面で同じようなことを繰り返してきました。 『罪と罰』のこの巻を読むと、その揺れが“極端な形”で描かれていて、自分の心の動きが少し客観的に見えるようになります。ラスコーリニコフが「踏み越えるはずだった主義」にしがみつきつつ、本当は何も越えられていなかったと気づく場面や、怒りながらも相手の指示に従ってしまう場面は、ドラマチックだけど、根底にあるのは僕らの日常とそんなに遠くありません。極限状態まで拡大されているからこそ、自分の中にも同じメカニズムがあるのが見えてくる感覚があります。 もうひとつ、この巻で強く感じるのは「自分は凡人なのか、そうでないのか」という危うい問いが、想像以上に身近だということです。大げさに聞こえるけれど、目の前の選択で“自分だけは特別だ”と思いたくなる瞬間って確かにあって、それがどこへ向かうのかを、この物語は容赦なく見せてきます。読んでいて苦くなるけれど、その苦さが逆に落ち着きをくれるようなところがありました。 自分の感情の揺れや選民意識めいたものに、うっすら心当たりがある人に静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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