
孤独の愉しみ方 森の生活者ソローの叡智 (智恵の贈り物)
ヘンリー・ディヴィッド・ソロー and 服部千佳子
イースト・プレス / 2010-09-01
この本について
人と関わる時間が増えれば増えるほど、自分の軸がどこにあったのか分からなくなることがあります。仕事でも私生活でも「みんながそうしてるから」に流されて、気づけば一日のほとんどを誰かの都合に明け渡してしまう。頭は常にノイズだらけなのに、自分のための静かな時間だけが減っていく。そんなモヤモヤを抱えたまま走り続けてしまうこと、僕自身もよくあります。 ソローの言葉が刺さるのは、孤独を美化しないのに、静かに生きることの手応えを思い出させてくれるところです。たとえば、読むならいちばん頭が澄んでいる時間に向き合え、という姿勢は、「時間はつくるもの」という抽象論ではなく、実際の行動を変えざるを得ない現実味があります。また、人づきあいを否定するのでなく、距離の取り方次第で互いの価値が失われることもある、という視点は、無理に群れようとして疲れていた自分を落ち着かせてくれます。そして、生活のすべてを労働に売り渡すのは失敗だと言い切る言葉は、自分の時間をどう確保するかという根本の問いを置き直してくれます。 静けさの中で、自分の一日をどう彫り直すかを考えたい人に向いた本です。今の生活を急に劇的に変えたいわけじゃないけれど、このまま無自覚に流されるのは違う気がする。そんなタイミングで読むと、少しだけ呼吸が深くなる一冊だと思います。
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