
無罪請負人 刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)
弘中 惇一郎
KADOKAWA
この本について
ニュースを見ていて「結局どこまでが事実なのか分からないまま空気だけが先走っていく感じ」がどうにも苦手で、でも自分もその空気に流されてしまうことがある……そんなモヤモヤ、ありませんか。僕も同じで、事件報道を目にするたびに「判断していい材料がそもそも足りていない気がする」と感じることが多いんですよね。 『無罪請負人』は、そういう感覚の正体をかなり現実的に言語化してくれます。冤罪事件に繰り返し出てくる“同じ構造”があること。供述調書がどれだけ恣意的に作られ得るのか。世論や報道の空気が、当事者はもちろん、証人の記憶までもゆがめてしまうこと。読み進めるほど、「自分が見ていた事件像って、実は誰かのストーリーの一部だったのかもしれない」と気づかされます。そして、依頼人に先入観を持たないという弁護士の姿勢が、単なる理想論ではなく、実務の土台そのものだという点も印象的でした。 僕自身、この本を読んでからは、報道を見たときに立ち止まる癖がつきました。たとえば「この情報は誰が得をするんだろう」「このストーリーは誰が作っているんだろう」と、一呼吸置けるようになった。それだけで、流されやすい自分が少しだけ扱いやすくなる感じがあります。 空気に引っ張られやすいけれど、本当は自分の目で物事を見たい人に刺さる一冊です。
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