
東京大学で世界文学を学ぶ (集英社文庫)
辻原登
集英社 / 2010-11
この本について
仕事でも日常でも、「見えているはずなのに、本質だけがどうにも掴めない」という感覚が続くことがあります。相手の言葉の意図とか、状況の意味とか、数字の裏側とか。見慣れすぎて、逆に何も見えていないんじゃないか…と不安になるあの感じです。 辻原登さんの『東京大学で世界文学を学ぶ』を読んでいて刺さったのは、「リアリズム=現実の模写ではない」という視点でした。むしろ、見慣れたものを別の言葉や比喩でゆさぶり直すこと。作家が“うまい嘘”を使って真実を別の場所へおびき出すように、私たちも、現実をそのまま受け取るだけでは届かない何かを、別の角度から掘り起こせるかもしれない。そんな示唆が静かに効いてきます。 特に、古びた隠喩を壊して新しい隠喩をつくる、という話は、仕事の思考パターンにもそのまま持ち込めます。いつもの説明や枠組みが通じないとき、問題なのは中身より“使い古された比喩”かもしれない。言葉の交換だけで視界が変わる瞬間ってありますよね。ドン・キホーテのように、比喩によって現実そのものを揺らす行為が、私たちの日々にも確かにあるんだと思います。 物事の捉え方が行き詰まって、「この見え方以外のチャンネルはないのか」と感じている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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