
善の研究 (講談社学術文庫)
西田幾多郎 and 小坂国継
講談社 / 2006-09-10
この本について
仕事でも私生活でも、「やるべきことは分かっているのに、意志がついてこない」と感じる瞬間ってありますよね。動けない自分を責めたり、逆に動いてみても中身が伴っていないような気がしたり。そのズレが続くと、そもそも自分は何を基準に判断しているのか…という根っこのところで迷いが出てきます。 『善の研究』が面白いのは、この「ズレ」を意志力の不足としてではなく、意識そのものの働きとしてとらえ直してくれるところです。たとえば、行為は動作そのものではなく、その背後にある意志の統一から生まれるという話。あるいは、判断や意味づけは、過去と現在を意識の中で結びつけた結果にすぎず、もっと手前に“事実そのものとしての経験”があるという視点。これに触れると、普段の迷いや焦りが、ただの「思考の揺れ」ではなく、自分の中の統一作用そのものだと思えてくるのです。 読み進めるうちに、「ちゃんと考えれば正しい答えに行き着く」というよりも、「今この瞬間にどう意識が働いているか」を丁寧に見ることが、行為にも判断にも直結していたんだと静かに腑に落ちてきます。派手な処方箋がある本ではないですが、自分の行動の根っこを扱いたい人には深く染みる一冊だと思います。 自分の考える癖や行動の源泉を、いちど地層レベルから見直したい人に特に向いています。
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