
上杉鷹山の経営学 危機を乗り切るリーダーの条件 (PHP文庫)
童門 冬二
PHP研究所 / 1990-08-15
この本について
職場の空気が冷えていたり、改革を進めたいのに自分の力の小ささばかり意識してしまったり。そんなとき、周りを変える前に「結局、自分はどう動けばいいんだろう」と立ち止まる瞬間があると思います。私もよくそこでつまずきます。 『上杉鷹山の経営学』が面白いのは、立派なリーダー像を押しつけてこないところで、むしろ鷹山自身が「若くて経験がない」「自分は小さすぎる」と正直に語りながら、それでも組織を動かしていく過程が描かれている点です。情報を全員に共有し、討論を活発にし、合意を尊重する。聞けば当たり前のことなのに、日々の現場では抜け落ちがちな“基本”を、あらためて具体的な場面で突きつけられます。そして一番刺さるのは、「自分が変わらなければ組織は変わらない」という姿勢が、決して精神論ではなく、問題児と呼ばれた人たちにも丁寧に向き合い、火ダネを探すように小さな変化を積み重ねる実践として語られているところです。 無理に全体を動かそうとするのではなく、まず自分の半径数メートルで火をつけ直す。その積み重ねが組織の改革につながる。そんな視点に救われる人は多いはずです。停滞した職場で「もう少しだけやれることを探したい」と思っている人に、静かに効いてくる本です。
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