
不幸論 (PHP文庫)
中島 義道
PHP研究所 / 2015-04-30
この本について
「人のためにと思ってやったことが、実は自分を守るためだった気がする」とか、「弱さをごまかしたまま前に進んでしまったな」とか、普段は見ないようにしている感情がふと顔を出すことがあります。周りが当然のように“幸福であるべき”という空気をまとっていると、自分だけ違う場所に立っているような心細さも出てきます。 中島義道の『不幸論』は、そうしたモヤモヤをごまかさず、そのまま直視する視点に引き戻してくれる本です。たとえば、相手のためと言いながら残酷な真実を隠してしまうとき、それは相手を思ってというより、自分が見たくないだけではないかという指摘は苦いですが、妙に納得させられます。また、信念を貫けなかった自分に「これでよかった」と言い訳してしまう弱さにも、無理に蓋をしない姿勢を求めてきます。さらに、幸福を追うほど視野が狭まり、真実を見えにくくしてしまうという話は、日常のちょっとした安心感が何に支えられているのかを静かに問い直してきます。 この本の良さは、どこかに“正しい幸福”があるとは言わず、むしろ「見たくないものを見ないことで得た安心なら、安心と言い切れないのでは」と淡々と突きつけてくるところです。そこがきつい反面、自分の弱さやずるさを認めたうえで立ち上がるしかないよな、と変な強がりを手放せるところもあります。 「幸福でありたい症候群」に少し疲れてきた人には、とくに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
読書の順序
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