
スクラップ・アンド・ビルド (文春e-book)
羽田圭介
文藝春秋 / 2018-05-10
この本について
年を重ねた家族の介護に向き合うとき、「助けたい気持ちはあるのに、どう振る舞えばいいのか分からない」「優しくしたつもりが、相手には違う形で届いてしまう」みたいな噛み合わなさに疲れてしまうことがあります。手を差しのべれば過干渉になる気がして、見守れば冷たい人間みたいに思われる。この間でずっと揺れている人、多いと思います。 『スクラップ・アンド・ビルド』は、その揺れそのものを正面から書いた小説です。主人公が祖父の“死にたい”という願いと向き合う中で感じる、罪悪感とも優しさともつかない感情の重さが、抜粋にもにじんでいます。手を貸さずに見守るほうが実は消耗すること。行為の裏にある思いやりが、他人からは利己的に見えること。こういう、口に出しにくい本音を代わりに言語化してくれるので、自分の感情の立ち位置が少しだけ整理されていきます。 読んでいて感じたのは、「正しい介護の方法」みたいな話ではなく、むしろ“答えのない状況で人がどう揺れるか”を丁寧に描いているところでした。だからこそ、行動の判断ではなく、揺れながら関わろうとしている自分を許せる余白が生まれます。 介護や家族との距離感に、うまく言葉にできないモヤモヤを抱えている人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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