
【それでも、日本人は「戦争」を選んだ
加藤 陽子
この本について
外交や安全保障の話を見聞きするとき、「なぜこんな判断になるのか」「過去から何を学んでいるのか」がどうしても霧の中にあるまま終わってしまうことが多いと思います。今の出来事をどう受け止めればいいのか分からず、ただ不安だけが積もっていく感じ。自分もそこに長く引っかかっていました。 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』は、当時の日本人が何をどう判断し、どんな理屈で“これは戦争ではない”“相手が悪いから当然だ”と理解していたのかを、具体的な場面と積み上げで見せてくれます。抜粋にもありますが、武力行使を警察の取り締まりの延長のように捉えていた感覚や、政策形成者が歴史を都合よく使ってしまう癖など、知識というより「当時の思考の手触り」がつかめるのが大きいです。また、戦争とは相手国の憲法=社会の基本秩序を変容させる行為だという視点も、ニュースを見るときの基準になりました。 読んでいて強く感じたのは、誰かが特別に愚かだったという話ではなく、制度の歪みや国民の不安が積み重なると、擬似的な“正しさ”に惹かれてしまう構造が生まれるということです。これは過去の話というより、今の私たちがどう判断するかにも直結しているように思います。 歴史を大きな物語としてではなく、「人がどう考え、どんな誤解をしたのか」から理解したい人に刺さる一冊です。
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