
不実な美女か貞淑な醜女か(新潮文庫)
米原 万里
新潮社 / 1997-12-24
この本について
言葉って、仕事でも日常でも「なんとなく通じてるけど、ほんとはズレてる気がする」という不安がつきまといますよね。外国語を学ぶときは特にそのズレが可視化されて、母語の弱さまで突きつけられるような感覚があると思います。僕もロジックがふわっとしているせいで、説明が途中で迷子になることがよくあります。 『不実な美女か貞淑な醜女か』は、そんな言葉の不安に対して、派手な励ましではなく「現実的な視点」を渡してくれます。通訳の瞬間判断の苦労や、国によって全く違う文脈の衝突、母語の精度がそのまま外国語の上限になることなど、耳が痛いけど腑に落ちる話がずっと続きます。特に、消極的な知識と積極的な知識の差の描写は、自分の勉強がどこで止まっているかを具体的に見せつけてくれる感じがありました。 もう一つ刺さるのは、「言葉は相手の文脈を整える仕事だ」という視点です。通訳者の例を読んでいると、単語の正確さよりも、その場の温度や意図まで含めて“伝わる形”に変換する作業がどれだけ繊細かがわかります。自分の説明が空回りするときの理由も、ここにあるのかもしれません。 言葉に対してどこかモヤモヤを抱えている人、あるいは「伝えること」に少しでも負荷を感じている人には静かに効く一冊だと思います。
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多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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