
オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
米原万里
この本について
仕事でも日常でも、どこに「正しさ」を置けばいいのか分からなくなる時があります。誰が悪いわけでもないのに、環境やシステムのほうに押し流されていくような感覚があったり、才能のある人を素直に祝福できない自分に落ち込んだり。そういうときに、この本の抜粋を読んでいる人が多いのも分かる気がしました。 『オリガ・モリソヴナの反語法』は、巨大な力に振り回される理不尽だけでなく、もっと小さくて身近な息苦しさにも目を向けています。悪は誰か一人のせいではなく、静かに分散して存在する、という感覚は、現代で働く私たちにも重なるものがありますし、「皆と同じであることから外れるのが恐い」空気に疲れている人には特に響くと思います。プラハの学校で、誰かの才能を喜び合う空気が当たり前だったという描写も、いまの自分の周りと比べてハッとさせられる部分です。 そして何より、この物語は登場人物たちが完璧ではないところが救いです。立ち向かるのか、踏みとどまるのか、そのどちらにも迷い続ける姿が描かれていて、「強くあれ」と押しつけてこない。だからこそ、自分の足元をそっと見直す余裕をくれます。 周囲の「当たり前」にどこか引っかかりを覚えている人、あるいは自分の感じ方が間違っているのではと不安になる人に、この本は静かに効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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