
64(ロクヨン)(下) D県警シリーズ (文春文庫)
横山秀夫
この本について
仕事を続けていると、ときどき「自分はいま何を拠りどころに働いているんだろう」と急に足元が揺れるような瞬間があります。上司の方針に振り回されたり、部下との距離感に迷ったり、気づけば相手を“わかりやすいラベル”で見てしまっていたり。そんな自分に薄々気づいてしまうと、余計にしんどくなるんですよね。 『64(ロクヨン)下』を読んで刺さった人は、おそらくその「揺れ」を抱えながら働いている人だと思います。この物語に登場する警察組織はとにかく巨大で硬直していて、その中にいる人たちは皆、どこか不器用で孤独です。でも彼らが語る言葉には、自分が職場で感じているあの“行き場のないもやもや”に近いものがある。偶然で今の立場にいること、組織の中でしか生き方を語れない自分を認める怖さ、誰も従順ではない前提で関わり続ける難しさ。そういうものを、少しだけ正面から見せてくれる作品です。 読んでいると、組織というものを大げさに語らず、「今日の仕事をどう積み上げるか」という視点に戻してくれる瞬間が何度かあります。戦略で人は動かせないとか、職務は不変だとか、きれいごとではない現場の言葉が静かに響く。自分もまた同じ山を見て働いているんだと思えるだけで、翌日の呼吸の仕方が変わる本です。 組織の中で踏ん張っている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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