
64(ロクヨン)(上) D県警シリーズ (文春文庫)
横山秀夫
文藝春秋 / 2015-02
この本について
仕事で誰かと向き合うとき、相手の腹の内が読めなかったり、こちらの一言で場が一気に変わったりして、妙な疲れが残ることがあります。うまく立ち回りたいわけじゃないけれど、せめて「何が起きているのか」だけでもつかみたい。そんなときに思い出すのが、64の上巻で描かれる、あの絶妙な駆け引きや沈黙の重さです。 読者が保存していた場面をたどると、三上と漆原の会話の“間”や、ほんの一言が相手の防御にも探りにもなる瞬間に、心が引っかかっているように見えます。立場は違っても、顔を合わせるその瞬間だけは一握りの信頼を持ち寄る。そんな関係のつくり方は、現実の職場でも同じで、こちらの焦りや思い込みが相手の反応を曇らせることも多い。物語を読んでいるだけなのに、自分が普段どう会話を始め、どこで身構えてしまっているのかがふと見えてきます。 この本は事件の謎に迫る話ではあるんですが、それ以上に、人と人が接するときの温度差や、言葉の裏にある「鎧」の存在を丁寧に描いています。相手の強さに見えていたものが、実は錆びついていないだけの防御だったり、自分の沈黙が思わぬ効果を生んだり。そういう細部が、日常の会議や相談の場面にじんわり効いてきます。 人間関係の“力加減”にいつも悩んでしまう人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
読書の順序
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