
合本 64(ロクヨン)【文春e-Books】
横山秀夫
文藝春秋
この本について
仕事でも家庭でも、人を「わかったつもり」になってしまう瞬間ってありますよね。部下の性格を勝手に決めつけたり、家族にも昔のイメージのままラベルを貼ったままだったり。自分でも気づかないうちに、相手との距離がじんわり広がっていくあの感じ、覚えがある人は多いと思います。 『64』を読んで刺さったのは、そういう思い込みがどう積み重なり、どうズレを生むかを、警察組織という極端な舞台を通して“現実味を持って”突きつけてくるところでした。たとえば「本心から従順な部下などいない」という三上の独白は、上司としての慢心や、都合のいい理解に寄りかかりがちな自分の姿と重なりやすい。あるいは「たまたまが一生になる」という一文は、キャリアの選択を理屈で語りたがる自分の背中をそっとつかむような感触があります。そして、相手の「心の来歴」を丁寧にたどって一言を探す三上の姿は、対話って本来こういう地道さからしか始まらないよなと気づかされました。 物語としても重厚ですが、読み終えると、自分の周りの人間関係を一段深いところから見直したくなります。役職に限らず、誰かと関わり続ける立場にいる人ほど刺さると思います。人を動かすこと以前に、“自分がどう人を見ているか”を静かに問い直させてくれる一冊です。
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多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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