
鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)
ゴーゴリ and 浦 雅春
この本について
仕事をしていると、「なんでこんな理不尽が起きるんだろう」とか「説明がつかないことに振り回されてるな…」みたいな気持ちになることがありませんか。自分の努力ではどうにもならないズレや違和感が積み重なると、正面から考えるのもしんどくなってきます。 ゴーゴリの短編を読むと、その“説明のつかない世界”が思いもよらない角度から立ち上がってきます。鼻が勝手に出世して歩き回るとか、市長が善人ぶりながら裏で悪口を言われているとか、語り手自身が「いや、こんな話あるわけないですよ」と言いながら語り続けるとか、一見デタラメなのに妙に現実の肌ざわりがある。読んでいるうちに、理屈で整理しようと力んでいた自分が、ちょっと緩んでいく感覚がありました。 個人的に効いたのは、まず「語り」の揺らぎです。語り手が行きつ戻りつしながら物語を進めるおかしさが、そのまま自分の思考の迷いを代弁しているように感じられて、肩の力が抜けました。次に、人物たちの滑稽さが不思議と救いになるところ。悪人というより、みんな小さな虚勢と不安を抱えて生きていて、それが笑えてしまう。最後に、現実の“間尺に合わなさ”をまっすぐ描く姿勢です。筋道を通そうとするほど混乱する話なのに、「世界ってこういうとこあるよな」と思えてくる。 理不尽をうまく消化できずにいる人、説明できない出来事に心を持っていかれがちな人にしみる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
読書の順序
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