
水野仁輔 カレーの教科書
水野 仁輔
この本について
カレーって、家で作ると毎回 “そこそこ” に落ち着いてしまうことが多くないでしょうか。スパイスを変えてみたり、玉ねぎを炒め続けてみたり、いろいろ試しているつもりなのに、思っていたほど味が伸びない。自分の工夫が本当に意味のある一手なのか、だんだん分からなくなってくる瞬間があります。 『カレーの教科書』は、その辺のモヤモヤをかなり現実的にほどいてくれる本でした。たとえば、スパイスは“加える順番そのものが味になる”ことや、玉ねぎの切り方一つで「さらっと」「とろっと」が変わる理由など、普段なんとなく流してしまう工程にきちんと意味があることを教えてくれます。さらに、ニンニク・砂糖・唐辛子・バターという四つを少し足すだけで味が急にまとまる、という控えめだけど効き目のある指針もあって、「あ、これは今日から試せる」と思えました。 個人的にいちばん助かったのは、塩を入れるタイミングの考え方でした。素材ごとに少しずつ足していくことで味が立ち上がる感覚は、料理が得意じゃなくても違いが分かりやすい。エビの頭を炒めて香りを移す話のように、凝ったテクニックに見えて実は手の届く工夫も多く、日常の料理にそのまま持ち帰れる内容が多い本だと思います。 「レシピを追うだけじゃ物足りない」「自分のカレーをもう一段おいしくしたい」と感じている人には特に刺さるはずです。カレーを作る工程の“なぜ”が腑に落ちると、作る時間そのものが少し楽しくなります。
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