
働かないアリに意義がある (中経の文庫)
長谷川 英祐
KADOKAWA / 202109
この本について
仕事でも日常でも、「みんな同じ温度で動けたら効率いいのに」とか、「自分だけ反応が遅い気がして焦る」とか、そういう小さなモヤモヤってありますよね。チームで働いていると、全員がフル回転で揃うのが理想に思えるけれど、現実はそんなにうまくいかない。むしろ「なんであの人は動かないんだろう」と気にしてしまうこともあります。 この本がおもしろいのは、そんな“揃わなさ”こそが集団を強くする、という視点を昆虫社会から淡々と示してくれるところです。ミツバチの温度調整の話なんかはとても具体的で、反応する温度帯に個体差があるからこそ、必要なときに必要な数だけ動ける。逆に全員が同じタイミングで働くほうが、かえって脆い。さらに、短期的には“効率が悪く見える存在”が、長い時間軸では集団を生き延びさせる役割を果たしている、というのも妙に人間社会に響くところがあります。 面白いのは、著者が「この理屈は人間にも当てはまる」と簡単には言わないところです。むしろ、似ているようで本質が違う部分も多いと繰り返し念押しする。でもその慎重さが逆に、読んでいる側の視野をゆっくり広げてくれる感じがあって、効率や正しさを急いで決めつけがちな日常に、ちょっとした余白を戻してくれます。 「自分のペースの“ズレ”が気になる人」「チームの中での役割に答えを出し急いでしまう人」に特に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの87%が集中しています。
読書の順序
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