
口下手な人は知らない話し方の極意 認知科学で「話術」を磨く (集英社新書)
野村亮太
集英社 / 201606
この本について
人前で話すたびに、「結局うまく言えなかったな…」と帰り道で自己嫌悪に落ちること、僕もよくあります。言葉選びの問題だと思って対策しても、なぜかしっくりこない。そもそも“話す”という行為そのものが、もっと複雑なんじゃないか…と感じている人に、この本はけっこうしみます。 面白いのは、話術を「言葉のスキル」ではなく、「知性の総動員」として捉え直しているところです。聞き手の反応を感じ取ること、自分がどう見えているかを判断すること、そして内容を形にすること。この三つが絡み合って初めて“話す”が成立するという視点に触れると、ただ原稿を整えてもうまくいかない理由が腑に落ちてきます。落語家が前座修業で雑用ばかりやるのも、実はこの感受性と振る舞いの連動を身体で覚えるためだという話がとても示唆的でした。 そしてもう一つ、この本が優しいのは「上手く話そう」という目標をいったん手放していいと言ってくれるところです。話は一人ひとり違う体のつくりや感覚の上に成り立つから、誰かの型をそっくり真似ても機能しない。今の自分の在り方を起点に、少しずつ“適切に話す”方向へ寄せていけばいいという考え方は、肩の力が抜けます。 完璧な話術より、自分なりのやり方を探したい人に届く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
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